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いま話題の“インバウンド”でSDGs達成に貢献するたったひとつの方法

 

持続可能な開発目標

 日本でもようやく一般的になってきた「SDGs」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。どこかの企業の取り組みをぱっと思い出す人もいれば、胸に輝くカラフルなバッジが頭をよぎる人もいるだろう。SDGsとよく聞くが、いまいちわからないという人もまだまだ少なくない。

 「SDGs(エスディージーズ)」は、2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」で、193カ国の合意のもと決められた国際社会共通の目標だ。2030年までに達成すべき17の目標が設定されており、日本では経団連や経産省などが旗振りをし、大手企業を中心にビジネスの本業の中でSDGsに取り組むところも増えている。というものの、中小企業からはどのようにして企業の経営戦略へのSDGsの組み込みをしていけばいいのか、やったほうがいいとは思うが実際のイメージが掴めない、と困惑の声が聞かれるのも確かだ。

インバウンド

 最近の日本でよく聞く言葉がもうひとつある。それは「インバウンド」。「外国人が日本を訪れる旅行」のことを指しており、日本語では「訪日外国人旅行」「訪日旅行」と置き換えられる。

 これほどまでに注目されるワードとなった背景には、安倍総理を議長とする「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」にて、2020年に訪日外国人旅行者数を4000万人に、2030年には6000万人に増やす目標が掲げられたことがある。同時に、訪日旅行客による旅行消費額については、2020年に8兆円、2030年には15兆円まで拡大することを目指すとして、日本の経済を大きく成長させるインバウンド市場で需要を取り込もうと、様々な事業者が知恵を絞っている。

 

フードエクスペリエンス

 そんな2つのトレンドを盛り込んだサービスがある。その名も「byFood.com(バイフードドットコム)」。

訪日外国人向けに、料理教室やグルメツアー、テイスティングイベントなど、食に関わる体験(エクスペリエンス)を販売している。訪日の目的の上位を占めているのが飲食だとする調査結果もあるように、フードエクスペリエンスはインバウンド業界のなかでも注目されるコンテンツだ。

 日本各地のホストと呼ばれる事業者と連携し、300以上ものエクスペリエンスを掲載する「byFood.com」には、実際に欧米豪を中心とする訪日旅行客が日本ならでは体験を求めてアクセスする。最近では、東京の原宿に店を構えるラーメン店と共に開発をした“100ドルラーメン”が爆発的ヒットとなり、10組以上の予約が入る日もあるという。

 

 と、ここだけなら普通のインバウンド向けサービスだが、それだけで終わらない。まず、SDGsとの掛け合わせとして、訪日旅行客がエクスペリエンスを予約するだけで購入金額の一部がチャリティになるプロジェクトをし、国内外のこどもたちの支援をしている。「 Food for Happiness Project 」と呼ばれるこのプロジェクトは、一部のエクスペリエンスだけに絞らず、なんと掲載する全ての予約がその対象。

チャリティになる金額はエクスペリエンスごとに異なるが、これを購入するとどれぐらいの寄付ができるかということが明朗になっている。日本に比べると、日常的な寄付文化が根づいている欧米をターゲットにしているからこその仕掛けだと感じるが、それだけではない背景がある。

 

 「byFood.com」の運営会社は、社会貢献ができるグルメアプリを全国展開している株式会社テーブルクロス。このサービスでは、日本各地の飲食店をアプリ経由で予約するだけで、こどもたちへのチャリティになる。2015年にサービスがリリースされると社会貢献性が話題を呼び、40万ダウンロードと3,000店舗の飲食店の掲載獲得に成功。2019年12月末までに、760万円以上をこどもたちの支援のために寄付している(byFood.comとの合計寄付金額)。

 創業当時大学3年生だった同社代表の城宝薫は「当時はSDGsという言葉自体がありませんでしたが、私たちの企業活動のベースには常にありました。そこでSGDsが登場し、取り組み方がわからないという飲食事業者の方々を巻き込む形で、一緒にSDGsに貢献していきましょうとしていきました。そして今、インバウンドという新たなトレンドのもとでも、引き続きSGDsへの貢献を強化していければ。」と語る。

 

欧米豪からの誘客でまちづくり

 

 SDGsの貢献は、チャリティでこどもたちの支援という面だけではない。都市だけでなく、地方であったとしても、魅力的な体験であればフットワーク軽くどこへでも足を運ぶのが外国人観光客の特徴。そこで新しい観光資源を誘致するのではなく、既存の食文化に体験という視点を掛け合わせ、「ここだけしか体験できない」という付加価値を付けたコンテンツを提供する。地産地消、そこの地のものを求めて訪れた外国人もその地域や日本のことが好きになり、地域が賑わい、経済も潤う。それが地域活性化・地方創生、ひいては持続可能なまちづくり、住みたくなるまちづくりに繋がるのだ。「工夫次第で集客の可能性は無限大。心をくすぐる体験コンテンツの企画から、コンテンツが出来たあとのPRまで、すべてお手伝いが出来るので、最近では佐賀県や福岡県などの自治体様と連携することもあります。」と城宝は話す。2020年は、食を通したインバウンド対策で、SDGsへの貢献もバッチリな企業が増える予感だ。

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